シグブラ
第82回:ロケの合間にブラブラ

ロケの合間にブラブラ

June 8, 2016

ロケ初日は小雨模様だった。今回も自動車メーカーの依頼で一週間ほどの撮影に出たのだが、梅雨間近とあって雨が心配であった。前泊した千葉の片隅にあるビジネスホテルを出る時には何とかもっていた空だが、ロケ地に着くとパラパラと雨が降り出した。「やれやれ」とフルサイズ一眼レフにシグマのアートラインレンズをセットし、撮影を開始したのであった。

ロケは香盤表どおりに進めなければならない。なぜなら撮影許可を取って一般では入れない場所をキープしていたり、休業日にわざわざお店を開店してもらうケースなどがあるからだ。もちろんスケジュールにはマージンがとられているが、不意の雨や交通渋滞などで狂ってしまうこともある。なので現場ではスピーディーにシャッターを切っていく。

そんな本番撮影の合間に SIGMA dp0 Quattro でシャッターを切るのは気分転換になる。劇車(被写体となるクルマ)を磨いていたり方向転換している間に、カメラバッグからソッと取り出してシャッターを切るのだ。もちろん”ゼロディストーション”が威力を発揮するシーンでは、そのまま本番カメラにと変身もする。

現場ではスピーディーにシャッターを切る、と書いたがそうはいかない場合もある。交通量のない茶畑の一本道を走行してくるシーンを撮影していたときのことだが、劇車がUターンする場所がなく、しばらく”待ち”になることがあった。そんな時も SIGMA dp0 Quattro を取り出して、何の変哲もない茶畑にレンズを向けることもあった。

進行がシビアなロケでも現場で出会う人々と話すのは楽しい。その場にいたという事実を、ひとことふたことだが、第三者と会話することによってたしかなものにできるような気がするのだ。

海や山だと天候がダイナミックに変化するので面白い。撮影に影響が出る場合も当然あるが、それを利用して臨機応変に絵作りしていくのが醍醐味だ。光と風、そして温度と湿度を体感しながら構図を考えてシャッターを切るのである。

移動もなかなか興味深い。運転はプロのレーシングドライバーが担当してくれるのだが、一般道でも彼らのドライビングスキルを感じることができるからだ。後部座席から眺めていても、視野の広さとスムーズな荷重移動などが伝わってくる。劇車の四隅まで神経が張り巡らされているかのようだった。

撮影終了後に夜の街に繰り出すのも楽しい。地元の名産品を食べたり銘酒を飲んだりと束の間のオフを過ごすのだ。今回は街外れに泊まることが多かったので、ちょっと地味なロケだった気がする(笑)。そんな感じで海から山へと一週間ほどの撮影を無事終了し、東京に戻ると梅雨入り宣言が出されていた。ブラブラには厳しい時期の到来である。


三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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